ヒキガエルさん、尊敬すべきひとに出会う
仕事が珍しくうまく行ってご機嫌な月曜。早く退勤できたので、いつものカフェで祝賀会です。もちろん一人でね…。
今日みたいな日もあること、忘れないようにしようと思いながら、すする紅茶の美味しいこと。
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ヴァージニア・ウルフの名随筆と呼ばれる本作ですが、恥ずかしながら初めて読みました。モダニズム作家だっていうし、きっと私には理解しがたい文体で書かれているんだろうなと敬遠してたのですが…。でも読んでみたら驚きの分かりやすさでした(訳の力も大きいけど)。こんなことなら学部生のうちに読んどけばよかったよ。
テーマはもちろん、文学と女性の自立。「女性がものを書こうとするならば、500ポンドの年収と、鍵のかかる自分だけの部屋が必要だ」という名文句で知られます。経済と精神、両面における自立の必要性を女性に説いてるわけです。
私はこの本を文字通り抱きしめんばかりにして読みました。ウルフの言葉が21世紀の読者である私の心に突き刺さること。キャトリン・モランの時もそうでしたが、思わず先輩!って呼びたくなります。先輩!私も同じ問題で悩み続けてきたので、先輩の意見を聞かせてください!
いやー、でもこの本がこんなに面白いというのは残念なことです。80年以上前に提起された問題が解決されていない、ということだからです。私の(空想上の)娘の世代には、この本がそこまで訴求力を持たなくなっているといいのですが。
ところで当時の500ポンドって今でいえばいくら?私の非常勤の年収とどれくらい開きがあるの?やっぱ来年はもっと労働時間増やすかな。経済的自立は矜恃の問題でもあるしな。
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そうそう、女性の文学についてのくだりね。シャーロット・ブロンテの小説と、エミリ・ブロンテやオースティンの作品とを比較したとこ。前者は男性優位社会に対して作者が抱く怒りの感情が露わになりすぎて物語世界を損なっているがために(「ひきつりがある」と作中で表現されていました)、後者のような高い評価を受けることができないとウルフが指摘していました。
なるほどー。でも私はその「ひきつり」ゆえにシャーロット・ブロンテを愛好しますが。切られれば血の出る人間の生々しさを強く感じるので。